「大学に行きたい。でも、勉強ができない」ある高校生からの相談

先日、教室に通っている高校生から、こんな相談を受けました。

「行きたい大学は決まっています。大学でやりたいこともあります。
将来こうなりたい、というのもあります。でも……勉強ができないんです。」

学校に行きたくない高校生の理由|なぜ学校に行きたくないのか ...

話を聞いていると、本人もかなり悩んでいました。
部活動も終わった。受験勉強を始めなければいけないことも分かっている。
それなのに、家に帰るとスマホを触ってしまう。
ちょっと休憩するつもりで動画を見て、そのまま時間が過ぎる。
お菓子を食べながらダラダラしてしまい、気がつけば夜。
そして最後には、
「今日も何もできなかった……」
と自己嫌悪になる。

実は、こういう相談は珍しくありません。
そして私は、この生徒にまずこう伝えました。
「勉強できない自分を、そんなに責めなくていいよ。」
「やる気がない=目標がない」ではありません

受験生の中には、
「本当に行きたい大学があるなら、もっと必死になれるはず」
「夢があるのに勉強できない自分は、意志が弱い」
と考えてしまう人がいます。

でも、これは必ずしも正しくありません。
目標があることと、毎日すぐに行動できることは別の話です。
「○○大学に合格したい」という目標は、とても大切です。
しかし、その目標は数か月後、あるいはもっと先にあるもの。

一方で、目の前にはスマホがあります。
動画はすぐ見られます。
SNSを開けば、すぐに楽しい情報が入ってきます。
人間は、どうしても「今すぐ得られる楽しさ」に引っ張られやすいものです。
だから、
「目標があるのに勉強できない=本気ではない」
と決めつけなくてもいいのです。

まず「2時間勉強しよう」をやめてみる
では、どうすればいいのでしょうか。
私が生徒に勧めたのは、意外と単純なことでした。
「今日は2時間勉強しよう」と考えないこと。
「まず英単語を5個だけやろう」
「数学を1問だけ解こう」
「机に座って、参考書を開くだけでもいい」
これくらいまでハードルを下げます。

「そんなので受験に間に合うの?」
と思うかもしれません。

もちろん、ずっと5個だけ、1問だけでは足りません。
でも、最初から完璧を目指して動けなくなるくらいなら、まず動き出すことのほうが大切です。
1問解いてみたら、
「もう1問やってみようかな」
となることがあります。

英単語を5個覚えたら、
「せっかくだからあと10個やろう」
となることもあります。

勉強は、始める前が一番重い。
だからこそ、最初の一歩を小さくするのです。
「やる気が出たら勉強する」ではなく「勉強したらやる気が出てくる」
「やる気が出ないから勉強できない」
という言葉をよく聞きます。

でも、実際には逆になることがあります。
机に座る。
問題を1問解く。
もう1問解く。
少しずつ集中できるようになる。
そして気がつけば、30分、1時間と勉強している。
最初から「今日は絶対3時間集中するぞ!」と気合いを入れる必要はありません。
まず5分。
それで十分です。

受験勉強は、毎日の小さな積み重ねです。
一日で自分を劇的に変える必要はありません。

もう一つ、その生徒と話したのがスマホのことでした。
「スマホを触らないようにしよう」
と思っても、机の横にスマホが置いてあれば、気になってしまいます。
通知が来れば見たくなる。
ちょっとだけ確認するつもりが、いつの間にか20分、30分。
だったら、最初からスマホと戦わない仕組みを作ればいい。

例えば、
・勉強中はスマホを別の部屋に置く
・家族に預ける
・通知を切る
・勉強する場所には持っていかない
・「30分勉強したら10分触る」などルールを決める
などです。

大切なのは、
「自分の意志で絶対に我慢する」
と考えすぎないこと。
誘惑がある場所で我慢し続けるより、誘惑そのものを遠ざけたほうがずっと楽です。

受験生になると、
「昨日3時間しかできなかった」
「今週ほとんど勉強していない」
「周りはもっとやっている」
と、過去の自分を責めてしまうことがあります。
でも、過ぎた時間は戻ってきません。
大切なのは、「今日できなかった。だからもうダメだ」ではなく、
「じゃあ、明日は何を一つやろう?」と考えることです。

30分しかできなかった日があってもいい。
予定通り進まなかった日があってもいい。
一度崩れたからといって、受験勉強のすべてが終わるわけではありません。
次の日に、また机に向かえばいいのです。

今回相談してくれた高校生は、
「こんな自分を変えたい」と話していました。
私は、その言葉を聞いて、
「それなら大丈夫だよ」と思いました。
なぜなら、本当に何も考えていない人は、
「自分はこのままでいいのかな」と悩むことすらないからです。

自分の現状に気づいた。
このままではいけないと思った。
そして、変わりたいと思って相談に来た。
それだけでも、大きな一歩です。
受験勉強は、最初から完璧にできる人ばかりではありません。

大切なのは、「大きな目標を、小さな行動に変えること」です。
「○○大学に合格する」
という目標だけを見ていると、遠すぎて動けなくなることがあります。

そんなときは、
「今日は英単語を10個」
「数学を2問」
「英語の長文を1題」
と、今日できることまで小さくしてみてください。
そして、できたら自分に「よくやった」と言ってあげてください。
受験までの道のりは、長いようであっという間です。
だからこそ、今日から完璧を目指す必要はありません。
まずは5分。まずは1問。
そこから始めていきましょう。

私たちの教室でも、一人ひとりの「やらなければいけないのに動けない」
という悩みに寄り添いながら、その生徒に合った「最初の一歩」を一緒に考えていきたいと思っています。
「勉強しなきゃと思っているのに、なかなか動けない」
そんな悩みを抱えている高校生は、決して珍しくありません。
一人で抱え込まず、ぜひ一度相談してください。
一緒に、できるところから始めていきましょう。